2020.09.23
- Design
書籍「伝わる[図・グラフ・表]のデザインテクニック」の感想とメモ
THE GUILDの北田荘平さんと渡邉真洋が執筆されているデザイン本と聞き、迷わず購入した一冊。デザインにおけるインフォグラフィックなど、まとまった情報を図やグラフを用いて解説する場合のテクニックが掲載されている本です。
ストーリー[構成・設計]
第1章はストーリー[構成・設計]で、誰に届ける情報なのかや、伝えた後のゴールをイメージすることの大切さなど、目的を明確にしておくことの必要性が書かれています。この部分は基礎的なところで、インフォグラフィックにかかわらずデザインにとっても普遍的なところかなと感じました。
レイアウト[平面構成]
第2章はレイアウト[平面構成]で、実際に図案化していく際のポイントを紹介しています。ページの構成としては、先に重要となる4つのポイント「そろえる」「まとめる」「メリハリをつける」「ルール化する」を説明し、その後BADとGOODの2例を紹介していきながら、どこをどのように改善すべきかを細かく解説していく流れになっています。
各項目に共通しているのは、色や余白、書体や文字の大きさ、情報の足し算・引き算など、デザインをする上での基本的な要素を踏まえながら、4つのポイントを紹介している点でしょうか。この辺りはデザイナーだけでなく、パワーポイントなどプレゼンテーション用の資料作りにも役立つポイントかと思います。
ビジュアル[図解]
第3章がビジュアル[図解]で、この章からかなり実践的な内容が紹介されています。デザインを本職としている人たちには、この3章から4章の内容がかなり参考になるのではないでしょうか。
3章も2章と同様に先に重要となるポイントを上げてから、各ポイントごとに一例を紹介していく流れとなっています。ポイントは「一覧する」「比較する」「階層化する」「関係を表す」「循環を表す」「過程を表す」の6つです。
普段のデザイン業務でも、もう少し図やグラフの見せ方を工夫したいなと思う時が多く、そうした場面で役立ちそうなポイントがこの章ではたくさんありました。
例えば「比較する」場合の方法として、文字の大きさでの比較が紹介されています。つい簡素な表グラフで表してしまいそうなところですが、こうした工夫をするだけで見え方が随分と変わります。
他にも文字の大きさや、太さで関係性に強弱を持たせたい場合の作例はこちら。
もとの改善前の例では、シンプルに数の多い単語を棒グラフでランクづけさせるものでしたが、改善後の文字の大きさで可視化したものの方がより直感的に差がわかるような表現になっています。
図解のなかには表現方法や法則の名前として、少なからず専門用語が登場します。例えば「ベン図」は重なる円などの図形を用いて、複数の項目が集まった際の関係性をあらわします。項目間の類似点や相違点を強調させるために用いられることが多い図です。
データ[グラフ]
最後となる第4章はデータ[グラフ]で、これまで紹介したような実務的な方法よりかは、データに応じてどのような表現方法が最適かの選定方法や、グラフを作る上でのマナーなどに軸を置いて紹介しています。
重要となる3つのポイントは「納得感」と「心地よさ」と「信頼」で、少々抽象的なテーマとなっています。
ここでもう一度グラフを作る際の分析表現をおさらいしましょう。
グラフ作りで迷った際には、主にこの4つの方法から選ぶと良いでしょう。
基本的に棒グラフを使えば4つの方法すべてをカバーすることができます。ただ、それぞれの特性に合ったグラフ表現があるため、情報を伝達する際にどの方法がもっともわかりやすく簡潔にイメージさせられるか考えることが大事です。
上記の分析表現について、本書では以下のような例が紹介されていました。
❶大きさを比較する場合には、円グラフより棒グラフが良い。
理由:人間にとって円の面積を直感的に捉えるのが難しいため。
❷構成を比較する場合には、円グラフより棒グラフが良い。
理由:円グラフを複数つかって比較をする場合、各グラフごとに比較する起点がバラバラになってしまう。棒グラフを使うと構成要素の比較がぐっとわかりやすくなる。
❸連続を表す場合には、棒グラフと折れ線グラフどちらでも良いが、複数のデータを扱う場合には折れ線グラフの方が良い。
理由:例えば複数の企業の売上推移を比較するようなグラフの場合、棒グラフだと推移の傾向がつかみにくい。
❹分布を表す場合には、棒グラフよりヒストグラムが良い。
理由:棒グラフは、個別の棒がそれぞれ独立した意味を持っているため、ひとつの連続したデータとしての意味を伝えづらい。ヒストグラムであれば横軸の階級に連続した順番があるため伝えやすい。
そのほかにも数多くの作例や表現方法が掲載されていますので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。書籍の購入はこちらから。